1. 「顧客」と「案件」を別にする
顧客の一覧だけでは、同じ会社と同時に二つの商談を進めているときに状況が混ざります。
この記事の管理例では、会社ごとに顧客ID、個別の相談・見積依頼ごとに案件IDを付けます。窓口担当者は別項目で記録します。同じ会社から「研修の見積」と「資料制作の相談」が来たら、顧客IDは共通、案件IDは別にします。会社名を毎回少し違う表記で入力する代わりに、同じ顧客IDを使います。
反対に、同じ相談について届いた追加質問や見積金額の修正は、原則として同じ案件の履歴へ残す運用が考えられます。依頼内容が別件になった場合は新しい案件にし、元の案件との関係を記録します。どちらに分けるかを担当者ごとの感覚にせず、社内で決めておきましょう。
最初から複雑な台帳は不要です。「顧客一覧」「案件一覧」「案件の履歴」を区別できれば、同じファイルの別シートなど、現在使える形から始められます。
2. 管理表に残す項目と、記入例
項目を増やす前に、他の担当者が見ても「次に何をするか」が分かるかを確認します。
| 項目 | 残す内容・決めるルール |
|---|---|
| 顧客ID・窓口担当者 | 顧客IDは会社ごとの番号。窓口担当者は別項目に記録し、会社の番号と混同しない |
| 案件ID・案件名 | 個別の依頼を識別する番号と、何の相談か分かる短い名称 |
| 受付日 | 依頼を受けた日。最終更新日とは分ける |
| 担当者 | 現在、対応を進める責任を持つ人。引継ぎ時に更新する |
| 対応状況 | 受付、条件確認中、見積準備中、見積送付済み、受注、見送りなど。社内で意味を統一する |
| 次にすること | 「対応する」ではなく「希望納期を確認する」など具体的な行動 |
| 次回連絡の要否・予定日 | 連絡が必要なら日付。不要なら要否を「不要」にし、別欄へ理由を残す |
| 最終更新 | 状況を更新した日と更新者 |
| 履歴参照先 | 問い合わせメール、送付した見積書、回答記録などを案件別にたどれる場所 |
次は、会社・担当・案件・日付がすべて架空の記入例です。実顧客の記録、製品画面、実測結果ではありません。
| 顧客ID | 案件ID・内容 | 担当・状況 | 次にすること | 次回連絡 |
|---|---|---|---|---|
| C-001・架空会社A | Q-001・社内研修の見積 | 担当甲・見積送付済み | 検討日程と不足情報を確認 | 必要:2026-10-08 |
| C-001・架空会社A | Q-002・採用資料の制作相談 | 担当乙・条件確認中 | ページ数と希望納期を確認 | 必要:2026-10-06 |
| C-002・架空会社B | Q-003・資料改訂の見積 | 担当甲・見送り | なし(終了理由は履歴へ記録済み) | 不要:先方から計画中止の回答 |
Q-001の受付日は2026-10-01、最終更新は2026-10-02・担当甲、履歴参照先は「Q-001の問い合わせ・見積送付メール」とする例です。同じC-001でも、二つの案件の担当・状況・次回連絡は別々です。
上の表では読みやすさのため次回連絡を一つの欄にまとめています。実際の表では「要否」「予定日」「不要の理由」を分けると、日付順に確認しやすくなります。不要の案件は日付を空欄にしても、理由があれば未入力とは区別できます。日付だけが空欄の案件は「連絡不要」と判断せず、担当者へ確認します。
3. 更新するタイミングを、仕事の区切りに合わせる
表の形ができても、誰がいつ書くかが決まっていなければ情報は古くなります。次の五つを、最初の運用ルールにする案です。
- 受付時:案件ID、担当者、現在の状況、次の行動を決めます。担当がまだ決まらない場合は、担当を決める人と期限を記録します。
- 見積送付時:送付日、見積書の版、参照先を履歴に残します。状況を「見積送付済み」に変えるだけでなく、次回連絡の要否と予定を決めます。
- 返答・変更時:顧客から返事が来た、担当が替わった、条件が変わった時点で更新します。前のやり取りは消さず、履歴へ残します。
- 営業日の確認時:未完了の案件のうち、次回連絡日が今日以前のものと、担当・予定が未入力のものを確認します。確認担当も決めます。
- 終了・保留時:受注、見送り、保留の理由を残します。保留を後日見直すなら、その担当と見直し日を決めます。
「受付→見積→受注」の順を必ず通るとは限りません。見積前に終了する相談も、条件確認へ戻る案件もあります。状況の名称は、実際の仕事で区別する必要があるものに絞ってください。
履歴は「日付/誰が/何をした・何を受け取った/次の判断/参照先」の形で残す案です。管理表にメール本文をすべて複製するよりも、必要な要点と原文への参照を残すほうが運用に合う場合もあります。保存先へのアクセス範囲や、担当交代後も参照できるかを確認します。
4. 見積後の連絡は、日数だけで自動決定しない
「見積を送ったら必ず3日後」のような一律のルールを置く前に、先方の検討予定を確かめます。たとえば「来週の社内会議で検討する」と聞いていれば、その予定に合わせて次回連絡を決められます。希望日が分からなければ、いつ確認してよいかを尋ねること自体を次の行動にします。
架空例Q-001で確認する内容は、「見積をご覧いただけましたか」だけでなく、「検討に足りない条件はあるか」「判断予定は変わったか」です。回答を受けたら、連絡予定を機械的に繰り返すのではなく、次の行動を更新します。
ここで決めているのは、人が確認して連絡するための予定です。担当者へ知らせる社内通知と、顧客宛てのメール自動送信は別です。管理表に日付を書いただけで通知やメール送信まで自動になるとは扱いません。顧客への送信内容・宛先・タイミングは、人が確認する運用から始めます。
5. Excelを続けるか、専用ツールを検討するか
いまの表で、案件を探せる、担当と次の予定が分かる、更新する人が決まっているなら、まずその運用を続ける選択があります。担当欄がない、案件の単位が混ざる、日付を書かないという問題は、商品を変えるだけでは解決しません。
また、Excelを複数人で使うこと自体が不可能なわけではありません。Microsoftは、対応するExcelとOneDrive/SharePoint Onlineなどの保存先を使う共同編集を案内しています。利用する版・保存先・参加者側の環境が条件を満たすかを確認してください。「Excelは同時編集できないから購入が必要」と一律には言えません。
一方、案件に関連する履歴を毎回探す、担当交代時に情報を集め直す、段階が変わるたびに社内タスクを作る、といった負担が残るなら、顧客や案件をまとめて管理するCRMという種類のツールを比較する余地があります。CRMへ移っても、記録を更新する担当とルールは必要です。
まずは現在の表の未完了案件を見て、担当・次の行動・日付のどれが不足しているかを確かめてください。表の修正で解決できるなら、新しい契約を急ぐ必要はありません。機能不足が具体的になったら、Excelを続けるか、CRMへ移るかの判断とツール選びへ進めます。HubSpotをすでに候補にしている方は、できることと無料・有料の違いから直接確認できます。
出典と、この説明の範囲
| 出典・確認日 | 対応する記述 |
|---|---|
| Microsoft・Excelの共同編集/2026-09-13 | 対応するアプリ・保存先等の条件。共同編集の製品事実だけに使用 |
管理項目、架空例、更新・連絡のルールは当媒体の編集提案です。売上増、対応漏れの削減率、作業時間の短縮を測定したものではありません。利用する人・情報の範囲に合わせて運用を決めてください。