1. まず、困り事を一つの業務に絞る

次の表は選定のための編集案です。「自動化したい」「顧客管理を改善したい」で止めず、誰がどの場面で困るのかを書き出します。

いま困っていること 先に現行運用で見直すこと 機能比較へ進む条件
誰が対応中か分からない 担当者と引継ぎ時の更新者を決める 担当・履歴・閲覧権限をまとめて扱う必要がある
見積後に連絡が止まる 次の行動と日付を残し、確認担当を決める 人の一覧確認だけでなく、通知やタスクの自動作成が必要
同じ会社の相談が混ざる 顧客IDと案件IDを分ける 顧客・複数案件・各履歴を関連付けて見たい
編集中のファイルが複数できる 正本の保存先と共同編集の条件を確認する 必要な権限・履歴・担当別の見方が現行環境で足りない
担当交代のたびにメールを探す 案件から履歴をたどれるようにする 履歴の記録・参照を案件と一緒に扱いたい

たとえば、架空の制作会社で「同じ顧客から別々の見積依頼があり、一方だけ回答待ち」という状況を考えます。会社を一行にまとめたため混ざるのであれば、案件を別の行に分けるのが最初の改善です。それでも各案件のやり取りや次の予定を行き来する負担が残るなら、関連付けを持つ専用ツールを比較します。

2. Excelを続ける判断も、十分にあり得る

次の条件を満たせるなら、まず現行の表を整える選択があります。

  • 顧客と案件を区別でき、未完了案件の担当・次の行動・日付を確認できる。
  • 正本が一つに決まり、担当が替わっても履歴の参照先が分かる。
  • 更新する場面と確認する人が決まっており、その手間を続けられる。
  • 必要な閲覧・編集範囲を、現在の保存先や社内ルールで扱える。

Excelには共同編集があります。Microsoftは、対応するExcelとOneDrive/SharePoint Onlineなどを利用する条件を案内しています。メール添付で各自が編集する運用と、対応環境で同じファイルを共同編集する運用は同じではありません。版・保存先・参加者の環境を確認せず「Excelは同時編集できない」と結論付けないでください。

継続する場合も、費用を無条件に0とは置きません。既存のライセンス・保存先の費用と、集計・確認・引継ぎに使う社内の作業を分けて見ます。すでに払っている費用と、変更により追加で必要になる費用も別です。

管理表自体がまだ定まっていない場合は、問い合わせ・見積依頼の管理方法と記入例を使えます。CRMを買わなくても、担当と次回連絡を決める作業は進められます。

3. 製品名の前に、選定表を作る

以下の問いについて、自社の要件には「必要/不要」、各候補には「満たす/満たさない/条件確認中」と理由を書きます。機能一覧にチェックがあるだけで採用せず、自分の記録と役割に対応するかを確認するための表です。

選ぶ条件 自分の業務で決めること 候補側で確かめること
顧客と案件 同じ会社の別案件を分けるか 人・会社・案件の関連付けと必要項目
履歴と担当 メール・電話・見積の何を残すか 手動記録か連携か、誰が参照・更新できるか
次回行動 一覧確認で足りるか 期限、担当、リマインダーの利用条件
自動化 手動タスク、社内通知、顧客への自動メールのどれか 対象機能のプラン・シート・接続条件
利用人数と権限 入力する人と閲覧だけの人 必要シート数、閲覧と編集の違い、設定権限
費用 初年度と更新後に何を払うか 商品・プラン・契約期間・請求期間・税・導入費・追加機能
移行と取り出し 残す項目・履歴・添付は何か 取り込み形式、関連付け、出力範囲・権限
継続運用 設定変更や退職時の対応を誰がするか 社内担当、必要な支援、契約・データ管理の引継ぎ

無料でも、入力ルールを決める作業はなくなりません。有料でも、すべての人が同じ機能を使えるとは限りません。特に「編集できる人数」と「見るだけの人数」は分けて数えます。

4. Excel・HubSpot・Pipedriveを、残る課題に合わせて比べる

今回は候補を広げすぎず、次の三つを入口にします。順位表ではなく、比較を始める条件の違いです。

候補 検討する理由 購入・移行を急がなくてよい場合
現在のExcel運用 管理項目と更新ルールの改善で足りる そもそも専用ツールが必要な機能不足が特定できていない
HubSpotの無料CRM/必要に応じたSales Hub 顧客・取引・タスクを整理し、追加要件だけ有料機能と対応付けたい 無料の範囲で足りるなら有料化不要。使わない自動化のために上位プランへ進まない
Pipedrive 営業の活動を人・企業・取引に関連付け、次の行動を管理する候補にしたい 現行表で足りる、または有料利用の費用・運用条件が合わない

HubSpotの無料CRMはコンタクト・取引・タスク管理を紹介しています。タスクに担当・期限・リマインダーを設定する説明と、取引段階に応じた社内タスク/通知の自動化、顧客向けメールのシーケンスは別です。後者ほど上位プラン等の条件を確認する必要があります。無料機能の整理だけで要件を満たすなら、まず有料化を必要条件にしない判断ができます。

HubSpotの無料CRMは英語公式で**最大2ユーザー・1,000コンタクト(人ごとの連絡先記録)**と案内されています。手動管理だけでも、必要な人数・件数がこの条件を超えるなら無料版は候補から外れます。その場合も特定の有料プランへ直行せず、Excelの運用見直しや他商品を含めて比較します。有料契約の閲覧専用シートは編集用の枠を代用できません。旧アカウントを含む個別条件は利用時点で確認してください。

Pipedriveは、活動を人・企業・取引などに関連付ける公式説明があります。「案件ごとの次の行動を扱いたい」という要件の比較候補です。公式料金ページは14日間の無料試用を案内しており、無料のまま継続するプランとは区別します。試用後も使い続けるなら有料契約の条件を確認します。

Pipedriveのどのプランを候補にするかは、公式料金・機能表で必要機能のある列を確かめてから決めます。活動を記録することと、メールやフォローを自動化することを一緒にせず、不要な機能が多ければ契約しない選択も残します。

同じ条件を入れると、候補はどう変わるか

以下は選定表を使うための架空の判断例です。共通の必要機能を「連絡先500件、顧客と案件の区別、担当者・次回連絡の手動管理」とし、自動化は不要とします。実際に導入して得た結果ではありません。

人数・費用の条件 Excel継続 HubSpot Pipedrive
2人とも編集。新しいCRMは試用後も無料で使いたい 現行の契約・共同編集環境で管理できるなら継続。既存費用と追加費用を分ける 無料の人数・件数条件内。必要な記録・権限も足りれば候補に残る 継続無料の条件には合わないため、この条件では候補から外す
3人全員が編集。新しいCRMの継続無料を必須とする 3人の共同編集条件と管理ルールを満たせるなら継続候補 無料版の2ユーザー上限に合わない。閲覧専用で3人目の編集を代用しない 試用後は有料なので、この条件では候補から外す
3人全員が編集。必要な機能には費用を払える 履歴参照や更新の負担まで現行運用で扱えるなら残す 3人が必要な記録を編集できる商品・プラン・シートの組合せを確認する 同じ基本管理ができるプランと3人分のseatを確認する

前提となる製品条件の出典と確認日は、記事末尾に掲載しています。表の絞り方は、その条件に基づく編集上の判断です。

2人の例では、「専用CRMを使いたい」「継続無料を重視」という条件からHubSpot無料が残ります。ただし、現在のExcelで管理できるなら移行は必須ではありません。3人・継続無料の例では、この二つのCRMから無理に購入先を決めず、現行運用で満たせるか、専用CRMが不可欠なら選定条件を見直すかを考えます。

3人・有料も可の例では、両製品を「3人全員が編集、同じ500件と案件・次回行動を管理、自動化なし」にそろえて比較します。契約期間・請求周期・税・通貨を合わせ、必要な初回費用も含む総額を次節の表へ記入します。一方だけが必要な機能・権限と予算を満たせば、その候補に絞れます。両方が満たす場合は、案件と履歴をたどれるか、必要な記録を取り出せるかも確認します。金額・条件がそろわない間は勝者を決めません。

5. 月額の数字だけでなく、同じ条件で費用を見る

一人分の表示価格だけを比べても、チームの支払いは比較できません。まず「入力する担当者」「閲覧だけの責任者」「管理者」を書き出し、それぞれに必要な機能を割り当てます。

HubSpotは商品・プラン・シートの組合せを確認します。Pipedriveもseat数を基に課金され、月払いと年払いでは支払い方が異なります。公式説明では年払いは一年分の前払いで、未割当seatも課金対象です。追加機能や利用枠も総額と分けずに確認します。

費用欄 確認して書く内容
対象商品・プラン 同じ「Starter」などの名称だけで商品を混同しない
人数・シート 誰がどの機能を使うか。必要数と最低購入条件
契約と支払い 契約期間、請求の周期、支払通貨、税
初年度 継続料金に加えて、導入支援・移行・設定の費用
更新後 値引き終了後の料金、更新条件、増員時の費用
社内の作業 入力、確認、設定管理、引継ぎに必要な担当と手間

通貨・税・契約期間などがそろわない欄は「条件未確定」とし、0円や推定の円換算で埋めません。HubSpotを候補に残す場合は、無料・有料の条件と費用の確認点も参照してください。公式ページ間の価格表示差は、適用条件が確かめられるまで購入額として使わないようにします。

6. 選ぶ前に、移すものと取り出すものを決める

たとえば、顧客名・案件名だけ移せても、見積の版や過去の相談内容がたどれなければ、目的を満たさない場合があります。必要な記録を「項目」「関連付け」「履歴」「添付・原文」に分け、移行対象を先に決めます。

Pipedriveは表計算ファイルからの取り込みXLSX/CSVへの出力を案内しています。ただし、取り込みには必須項目や列の対応付けがあり、出力範囲は権限・見えるデータ等に制約があります。メール・添付・設定も必要なら、それぞれ出力できる範囲を確かめます。

製品を問わず、契約・本移行を判断する前の確認項目は次のとおりです。

  • 現行の正本を残し、移行元を上書きせずに比較できるか。
  • まず架空の少量データで、同じ顧客の別案件・担当・次の予定を表せるか。
  • 取り込めない行や重複候補が出たとき、誰が確認するか。
  • 必要な項目や関連付けを取り出せるか。退職・解約時の管理担当は誰か。
  • 新旧両方へ入力し続けないよう、正本を切り替える条件が決まっているか。

実顧客データを移す前に、保存先・利用権限・社内の取扱いを確認します。

7. 結論:解決する仕事が決まってから、契約する

担当・案件・次回連絡を整理すれば回るなら、Excel継続が選択肢です。顧客と案件の関連付けや履歴管理が必要なら、HubSpotやPipedriveの対象機能を比べます。無料条件で足りれば、有料化を急ぐ理由はありません。無料の人数・件数が合わない場合と、通知・自動化などの追加機能が必要な場合を分け、それぞれの要件で商品・プラン・総費用を照合します。

まず第3節の選定表に、編集する人数、必要な記録・次回行動、費用の条件を記入し、各候補が満たすかを比較してください。管理ルールがまだ曖昧なら、先に管理表と更新ルールを整えられます。HubSpotを候補に残した方は、機能と無料・有料の境界で自分の条件を確認できます。

出典と、この比較の範囲

以下の確認日はすべて2026-09-13です。公式仕様の記録と編集上の選定案を区別し、製品順位・導入効果・当媒体の提携承認は示していません。

出典 対応する記述
Microsoft・Excel共同編集 アプリ・保存先などの条件
HubSpot CRMタスク 顧客・取引・手動タスクの基本
パイプライン自動化シーケンス 社内向け自動化と顧客向けメールの機能条件
英語CRM紹介シート 無料人数・件数の案内、シートと機能の違い
Pipedrive・活動 人・企業・取引と活動の関連付け
料金・試用有料利用への移行料金の仕組み 14日試用と有料継続、seat・支払条件
表計算の取り込みデータ出力 取り込み・出力の範囲と条件